データベースエンジニアとは ~これからIT業界を考えている人向け~

私はITエンジニアの中でもデータベースエンジニアという分野で仕事をしています。この記事では、ITに全く詳しくない方に向けて、データベースエンジニアがどのような仕事かを説明していきたいと思います。

データベースエンジニアとは

データベースエンジニアは、「データベースがどのような仕組みで膨大なデータ量を処理し、どのような仕組みでデータの整合性を担保し、どのようにデータを守っているか」を誰よりも"深く"理解しているITエンジニアを指します。

現場では「WEBサイトの検索が遅くなってきたので原因を調べてほしい」「新しいシステムに移行したいが、どんなデータベースにするのが性能面・コスト面で優れているか」といった課題を解決することが求められます。

また、世界中で次々に新しい機能を持ったデータベースが発表されていますので、情報のキャッチアップも欠かせません。最前線で活躍するデータベースエンジニアは勉強熱心であることは共通していると思います。

データベースエンジニアは地味だと思われることが多いですが、実際にはシステムの根幹にデータベースがあるわけですから、重要な仕事を任されることの方が多いです。これからITエンジニアを目指すなら、データベースエンジニアを目指すのも面白いと思います。

データベースエンジニアの年収や需要は?

データベースエンジニアの年収はだいたい400万円~900万円です

需要は結構多いです。なぜなら、データベースエンジニアは絶対数が少ないです。そのため、高度なスキルを持ったデータベースエンジニアは引っ張りだこです。データベースがあるところにデータベースエンジニアの仕事は必ず出てきます。

ですが、データベースは地味だと思われがちで、なかなか若い方は目指そうとしないと採用を担当している方に聞きました。

ここからは、私の個人的な意見ですが、ITエンジニアに関して需要の有無は考える必要はないと思っています。フロントエンジニアでもネットワークエンジニアでも、JAVA / C++ / Ruby / Python などの言語を扱うプログラマーでも、その道で優秀であれば等しく需要があります。

また、経済産業省調べで、IT人材不足が深刻化しており、2030年には78.9万人不足になるとの予測も出ています。ITエンジニアであれば、今後需要は増すばかりです。

もし、30歳を前にしてITエンジニアを目指すのであれば、自分がどのようなITエンジニアに適しているか、を優先して考えるべきだと思います。

データベースとは

まずはデータベースがなぜ必要なのか、ということから書いていきたいと思います。データベースはミドルウェアと呼ばれています。「ミドル」とは、OSとアプリケーションの間という位置付けになります。

middle-ware

今ではあらゆるシステムにおいてデータベースが使われています。Googleで検索するときも、Amazonで買い物するときも、Twitterで投稿するときもデータベースが使われています。

データベースがなぜ必要なのか?

実は、Excelやメモ帳でもデータベースは作成できます。3×3の表も小さなデータベースと言うことができます。では、Excelやメモ帳でもデータベース作成できるにもかかわらず、なぜ、データベースはあらゆるシステムに不可欠なのでしょうか。

データ量の増加に伴うパフォーマンス問題

例えば、Excelやメモ帳で簡単な表を作ります。

名前 住所 電話番号 口座番号
Aさん 東京都 0123456789 1234567
Bさん 大阪府 0123456789 1234567
Cさん 広島県 0123456789 1234567

このように小さい表であればExcelやメモ帳でも問題ないです。しかし、10,000件、100,000件、1,000,000件、10,000,000件とデータ量が増えてくると話は変わってきます。

Excelならば、1,048,576 行という上限が存在します。また、データ量も100MBを超えるファイルを開くと長いこと待たされるという問題が発生します。Excelやメモ帳はデータ量の増加に伴いパフォーマンスの問題が発生します。

データベースはギガバイト単位のデータであっても素早く処理できます。また、データベースのパフォーマンスチューニングを行えば、ギガバイトを超えた、テラバイトやペタバイトといった大容量のデータも扱うことができます。

データの整合性

銀行におけるお金の移動を考えてみましょう。AからBに1万円を振り込む場合を考えます。

  1. Aの口座から1万円減らす
  2. Bの口座に1万円を加える

この2つの処理が成功して初めてお金の振り込みが完了します。どちらか一方が正しく処理されなかった場合、口座から1万円が消えてしまったり、何もないところから1万円が増えてしまったりします。

大事なお金を正しく処理できないようであれば、誰もお金を預けてくれません。

データベースはデータの整合性を担保する機能を有します。一つの処理が完結するまで変更を行わない機能をトランザクション処理と呼びます。

セキュリティ

データベースには個人情報が詰まっています。氏名・住所・電話番号・メールアドレス・口座情報などです。個人情報は決して漏らしてはいけません。

これはあらゆるシステムに共通していることです。データベースはその特性から、データが簡単に見れないように様々な仕組みを取り入れています。

データベースエンジニアは必要なのか?

データベースが必要になる理由はご理解いただけたでしょうか。続いては「データベースエンジニアは必要なのか?」という問いです。

結論から言えば、データベースエンジニアがいなくてもシステムを構築することはできます。

実は、最近のデータベースであれば誰でも使えるようになってきています。簡単なGUIで操作ができるように作られていたり、自立型データベースなどという全て自動でやってくれるデータベースという製品も発表されています。こうなると、データベースエンジニアは必要ないと言う方も増えてくるかもしれません。

しかし、実際の現場では何が起こるか分かりません。長くシステムを運用していると、パフォーマンスが悪くなった、データが上手く整理できておらず分析で使えない、といった問題が発生します。そういった場面でデータベースエンジニアは必ず必要になります。

データ分析基盤で活躍するデータベースエンジニア

最近ではIOT機器から飛んでくる膨大なデータを取り込んで、ビックデータ分析を行うという試みが頻繁に行われるようになりました。しかし、なかなか分析まで進むことができない企業が多くあります。その原因はデータが汚いためです。

IOT機器のデータは整っておらず、フォーマットが異なるデータが多く存在します。そのため、分析したくても、データがそのままでは使えないという問題が発生しています。

そこでデータベースエンジニアの出番です。データを綺麗にするのもデータベースエンジニアの仕事の一つです。こういったデータ基盤の仕事は難易度は高いですが、報酬は結構高いそうです。

データベースエンジニアとして

私はデータベースエンジニアとして仕事を始めて1年も経っていませんが、とても重要な仕事を任されていると感じています。それは、データベースに企業の最も大切な個人情報が詰まっているからです。そのデータベースの設計、診断、チューニングには相応の責任が伴いますし、その分やりがいがあります。

今、私はデータベースについて幅広く勉強している段階です。Oracle / MySQL / NoSQL / Redshift などなど。休みの日もずーっと勉強しています。

いつか、一人でお客様を担当してデータベースの課題を解決できるようになりたいです。