C値と隙間換気量の関係

  • 家づくり
  • 実は、C値は寒い時しか関係ありません

    これを言うと、多くの人が「は?」と思うかもしれません。

    勘違いを生んでいる元凶

    「C値が1.0だと50%は自然換気になっている」という説明を聞いたことはありますでしょうか。

    実はこれの伝え方が正確ではないのです。

    C値と隙間換気量の関係は、内外の温度差、外の風の強さなどが強く影響しています。

    色々な方がこの図で隙間換気量を説明される時、そういった諸条件が述べられていません。

    家の隙間と温度差の関係

    これは、2021年に北海道建築技術協会が発表した「北方型住宅の熱環境計画」でに記載されている内容です。

    この表から分かること

    • 床面積あたりの隙間(C値)が大きいと、隙間換気量も多い。
    • 室内と外気の温度差が大きいと、隙間換気量も多い。
    • 室内と外気の温度差が小さいと、隙間換気量は少ない

    お分かりいただけましたでしょうか。

    ちなみに、このグラフに書かれている注釈「機械換気の換気量に足される隙間換気量」というのは、第一種換気による機械で行う給排気を行っている時に、という意味です。

    隙間換気量は真冬だけ気にすれば良い

    実は夏場の隙間換気量はそこまで大きくありません

    日中の外気は33℃くらいですが、夜になれば25℃くらいに下がります。

    エアコンの温度は25℃くらいですよね。

    室内と外気の温度差は常に10℃以下です。

    仮に、天井高2.4m、C値2.0と仮定しましょう。

    床面積120㎡ x 天井高2.4m = 家の体積288㎥

    上記の表からC値2.0で温度差10℃の時、隙間換気量は30㎥/hです。

    よって、このように計算できます。

    隙間換気量30㎥/h ÷ 家の体積288㎥ = 0.1回/h

    よって、夏場の隙間換気量はそこまで大きくありません。

    室内と外気の温度差が大きい真冬における隙間換気量だけ気にすれば良いのです。

    冬場の隙間換気量

    首都圏(東京、名古屋、大阪、福岡)は主に6地域です。

    冬場の室内と外気の温度差は20℃くらいです。

    C値と隙間換気量の関係を表にしました

    床面積120㎥、室内と外気の温度差20℃、風速2m/sと仮定しています。

    家の体積は288㎥(天井高2.4m)で計算します。

    低気密とされる気密性能 C値2.0

    C値2.0を切ると低気密に分類されます。

    隙間換気量は1時間で48㎥(12畳部屋)です。

    昔は、それでも気密は良い方だったのですが、今は家の性能が上がってきていますので、そう呼ばれています。

    隙間換気による換気回数を計算してみましょう。

    隙間換気量48㎥/h ÷ 家の体積288㎥ = 0.17回/h

    0.17回/h x 6時間 = 1回

    6時間経過すると隙間換気だけで1回/hになります。

    つまり、6時間経過すると隙間換気だけで家の中の空気が入れ替わっている計算です。

    リビングのエアコンを寝る前に切ると、朝にはとても寒くなっているでしょう。

    高気密住宅の気密性能 C値1.0

    一般的にC値1.0が高気密住宅とされています。

    隙間換気量は1時間で24㎥(6畳部屋)です。

    隙間換気量24㎥/h ÷ 家の体積288㎥ = 0.083回/h

    0.083回/h x 6時間 = 0.5回

    6時間の隙間換気量で家の半分もの空気が入れ替わる計算です。

    なお、第一種の24時間換気システムでは熱交換率が80%〜90%ですので、少しずつ熱が失われます。

    それも考慮すれば、6時間経過で部屋はまあまあ寒くなっているでしょう。

    超高気密住宅の気密性能 C値0.5

    ここでは、C値0.5を超高気密住宅と定義します。

    隙間換気量は1時間で12㎥(3畳部屋)です。

    隙間換気量12㎥/h ÷ 家の体積288㎥ = 0.042回/h

    0.042回/h x 6時間 = 0.25回

    6時間の隙間換気量で家の4分の1の空気しか入れ替わらない計算です。

    夜24時にエアコンを止めて朝6時になっても、そんなに部屋は寒くならないでしょう。

    やはり、超高気密住宅はすごいですね。

    C値と隙間換気量の関係 まとめ

    結論

    結論としてはこの3点です。

    • 床面積あたりの隙間(C値)が大きいと、隙間換気量も多い。
    • 室内と外気の温度差が大きいと、隙間換気量も多い。
    • 室内と外気の温度差が小さいと、隙間換気量は少ない

    夏は隙間換気量が少なく、冬は隙間換気量が多い。

    だから、冬の隙間換気量だけを気にすれば良い。

    C値はどこまで目指すべきか

    一般的にはC値1.0以下を目指すのが「良い」とされています。

    外気との温度差が20℃の時、隙間換気量0.1回/hを下回るのがC値1.0です。

    この場合、第一種換気システムも計画通り機能すると言われています。

    目標はC値1.0以下でしょうね。

    個人的には、

    • 暖かい地域(省エネ区分5~7)はC値1.0以下を目指すべき
    • 寒い地域(省エネ区分1~4)はC値0.5以下を目指すべき

    という意見です。

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