気候科学者の告白(中村元隆)

著書のプロフィール

スゴイ経歴の方です。

山口県出身の大気・海洋・気候専門の科学者。1989年12月に米国ノースキャロライナ州立大学、物理数学科学学部、海洋地球大気科学科を卒業して学士号を取得。同年度全校卒業生中で最高位、首席で卒業。1990年9月にマサチューセッツ工科大学、地球大気惑星科学部の博士課程に入学し、同校から返済無用の奨学金と授業料免除の援助を受けて1995年2月に理学博士号を取得。学生時代は大気科学全般と物理海洋科学を学びながら気候力学(大気・海洋力学、大気・海洋による熱と物質輸送、雲プロセス、放射プロセス、氷プロセス)に関する研究を行い、1995年から2014年までは、マサチューセッツ工科大学、ジョージア工科大学、ゴダードスペースフライトセンター(NASA)、ジェットプロパルションラボラトリー(NASA)、デューク大学、海洋研究開発機構で、異常気象や気候変動に関する研究を行った。理論的研究、数値モデル構築・改良、数値モデル実験・検証、数物理的理論に基づいたデータ解析、と幅広く、同時に深い研究アプローチを得意とする。また、研究活動だけでなく、文部科学省でのレクチャー付きの記者会見、新聞や雑誌の取材対応、NHKのニュース番組への出演等を通じて、気候変動や異常気象に関する社会啓蒙活動も行った。

真鍋淑郎上席研究員

2021年のノーベル物理学賞は、地球温暖化を予測する気候モデルを開発した米プリンストン大学の真鍋淑郎上席研究員らに授与された。

「温暖化には根強い懐疑論もあるが、ノーベル賞はこうした懐疑論に断を下した。」などと、地球温暖化説の正しさが証明されたことのように言われている。

筆者と真鍋博士のぶっちゃけエピソード

1992年に真鍋淑郎博士がマサチューセッツ工科大で講演された際に、夕食会をした。

その中で真鍋氏より「Garbagein,garbageout.(ゴミを突っ込んでゴミを出す)」という発言があった。

真鍋氏は「気候シミュレーションモデルを使った研究は、ゴミを突っ込んでゴミを出す様なものだ。しかしながら、もしかするとその内の5%くらいは科学的に意義があるのではないか、と希望的に考えている。」という旨の発言をされたのだ。

やはり・・・

私は中村さんの書いた内容について、とても納得がいくものだと考えています。

IPCCの報告を鵜呑みにして政策を決定するのは危険だと思います。

地球温暖化説は未検証の仮説

まず、筆者の主張はこうです。

本来、科学者とは、完璧に立証されていない説や理論に対しては、仮にそれらが自らの主張であったとしても、いくばくかの懐疑的な見方を保つべきである。

その意味で、二酸化炭素増加による地球の危機的温暖化を信仰する人たちに真の科学者はいないと言える。

二酸化炭素の温暖化効果

大気中の二酸化炭素は若干の温暖化効果をもたらすのは事実である。

産業革命前の大気中の二酸化炭素濃度からの2倍増による、直接的温暖化効果は0.5度程度である。

しかし、これが3倍になったとして、1.0度の上昇効果があるかと言うと、そうではない。

二酸化炭素は増えれば増える程、その増加量に対する温暖化効果は少なくなる。

気候シミュレーションモデル

そもそも、地球の気候システムはスゴイ複雑で、人類の理解をはるかに超えた、非線形で相互作用を無数に有している。

現在の気候シミュレーションモデルは、それに何となく似ている程度である。

ゆえに、気候シミュレーションモデルによる検証では、二酸化炭素の増加が実際の気候温暖化に影響を与えるかどうかは不明である。

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地球温暖化説が未検証である理由

筆者は以下の点を指摘しています。

1980年以前の「地球表面平均気温変化」は信用できない

一般大衆は勿論、ある程度の科学知識を持った人達や気候研究関連者の多くまでもが、産業革命以来の地球表面の平均気温が上昇したのは確認済みの事実だと信じ込んでいるが、実は、それを裏付ける確固たるデータは存在しない。

1980年以前の海洋上の気温・水温観測は極めて少なく、主に貿易関連の航路周辺に集中していたし、観測地点、観測時間、観測手法にもばらつきがあった。

気候データセットとして使われてきた海洋上気温や海表面水温データは、生の観測値に様々な人為的調整が施されたものである。

過去100年間の平均表面気温の変遷をある程度の精度で語れる地域は、現実的には地球表面のせいぜい5パーセント程度であろう。

気候シミュレーションモデルは深刻な欠陥だらけ

多少の差はあるものの、基本的に、気候予測に使われるシミュレーションモデルは、現実の大気に何となく似た大気を創り出すプログラムと、現実の海洋とは似ても似つかない海洋を創り出すプログラムと、極度に大雑把な雪・氷を創り出すプログラムが組み合わされたコンピュータープログラムの集合体である。

本書に記載されていた欠陥を箇条書きで記す。

  • 地球に到達する太陽エネルギーを不変として扱っている。
  • 人類には太陽エネルギーの変動をある程度の精度で予測する能力は全くない。
  • 海洋の流れとそのプロセスが除去されている、または、著しく歪められている。
  • 海洋モデルの振る舞いに影響を受ける大気モデルの振る舞いも、大きく歪められている。
  • 水蒸気は二酸化炭素より、はるかに温暖化効果を持つ、最も重要な温暖化ガスである。
  • 水蒸気が絡む物理・科学プロセスのほぼ全てを物理方程式に基づいて計算することができない。
  • 現在の水蒸気、雲分布、それに伴う温暖化効果の計算精度が悪いのに、ましてや将来の・・・。

「科学的事実」はこうして捏造される

悲しい現実ではあるが、現代の科学研究は、資金提供者の経済的目的、政治的目的を達成させるための道具と化している。

特に日本の気候関連研究費は、その大部分において、地球温暖化が前提とされている。

温暖化推進派の研究者は・・・

温暖化研究を専門とする研究者達には、大気・海洋科学の理解度が低い人たちが多い。

彼らは「科学者」ではなく「プログラマー・データ可視化スペシャリスト」である。

気候シミュレーションモデル内の方程式と変数や定数の意味を学んで、それで現実の気候が理解できたと勘違いしている。

多数決で決まる科学

職業科学者集団が、自らの利権を守るために結束し、確固たる、理論・実験・検証ではなく、多数決で「科学的真偽」を決定している。

温暖化懐疑論に対する言説にこのような表現が多い。

  • 人間が出す二酸化炭素が地球温暖化をもたらしている事は多くの科学者の間で合意が取れている。
  • 少数派の意見に逆張りする人は一定数いる。
  • 人間活動を原因とする地球温暖化や気候変動をめぐる、科学や政策を妨害するための組織的な懐疑論・否定論のプロパガンダ活動である。

多数派が少数派をディスっているような内容である。

最後に

科学は多数決ではなく、どちらが正しいか、理論・実験・検証で決定すべきである。

少なくとも、筆者の指摘する気候シミュレーションモデルの欠陥については、無視することは出来ない。

地球温暖化説に関しては、大気科学、海洋科学の博士課程などを卒業している人の意見も聞いた方がよさそうである。