学校では教えられない歴史講義 満州事変(倉山満)

学校では教えられない歴史講義 満州事変(倉山満)

本書を読むまでの私の満州事変に対する認識は、そういう言葉は聞いたことがあるけど中身は全く知らない、というヒドイものでした。

そんな私がこの本を読んで気付いたことがあります。

今の日本にも当てはまるのではないか

満州事変当時の日本と、新型コロナウイルスが蔓延している今の日本と、時代は異なりますが、本質的には似たような状況にあるのではないかと思います。

  • 相次ぐ恐慌により経済的に困窮したせいで、国民感情は荒んでいた
  • 政治家はお互いのスキャンダルを追求するだけで、国益を考えず、政治不信に陥る
  • マスコミは新聞が売れるためなら、国民の恐怖や怒りを煽る記事ばかりを書く
  • 金持ちとそうではない者という対立構造を作り、大衆の権利を主張する政治家が現れる

満州事変の当時、正論が通らない世の中になっていました。

今の日本もそうなってはいないでしょうか。

だからこそ、満州事変で日本は何を間違えたのか、きちんと学んで今に生かさなばならないのだと思います。

学校では教えられない歴史講義 満州事変(倉山満)

本書では、日露戦争に勝った後の日本が満洲に乗り出し、大国として世界に伍し、そして内政外政で苦しむ中で満洲事変に突入し、そして国際連盟脱退という形で孤立していくまでが描かれています。

倉山満氏いわく、普通の人が「満州事変を理解するためには、これくらい知っていて欲しい」という知識が体系化されています。

非常にレベルの高い内容ですが、それだけ読みごたえがあります。

歴史は繰り返されようとしている

仕事も満州事変も同じである

普段の仕事で、こういう誘惑に惑わされることが良くあります。

  • 納期に間に合いそうでないとき、製品の品質を落としてでも無理やり納品しようとする
  • 既に契約した内容を逸脱した指示命令に対して、嫌われたくないからと、受け入れてしまう
  • 言わなきゃバレないだろうといった欠陥をお客様に報告せずに済ませようとする

人間は楽な方に逃げたくなるものです。

こういう判断を間違えるときって、なんとなく気づいたら、その流れに乗っちゃってるんですよね。

『学校では教えられない歴史講義 満州事変(倉山満)』を読んで頂ければ分かると思いますが、満州事変もそうでしたよね。

新型コロナウイルスへの日本政府の対応も同じですよね。

正論を通す、とはどういうことか

仕事なら、納期に間に合わなくても、お客様に嫌われても、たとえバレなかったとしても、言うべきことは言わなければならないのです。

満州事変なら、狂った世論に合わせるのではなく、国益を考えて政策を決定すべきでした。

新型コロナウイルス対策なら、その危険性が低いと分かった時点で経済対策重視に方針転換すべきでした。

それが、正論を通す、ということだと私は考えます。

だからこそ、教養が必要

正論を通すためには、時世に流されることなく、何が正しいかを考えられるようにならなければなりません。

最近になって、歴史、経済、政治などを勉強し直していますが、本当に失敗の繰り返しです。

現在の日本でも、仕事の現場でも、同じような失敗が繰り返されようとしています。

だからこそ、過去の失敗から学ぶ、すなわち、教養を身に付けなければいけないのです。