大本営参謀の情報戦記(堀栄三)

堀栄三という人物

第二次世界大戦を情報参謀として生き抜いた堀栄三が、戦争中の情報とはどういうものだったのか、その当時の様子が赤裸々に語られています。

筆者は、第二次世界大戦は始まる前から情報戦で負けていたのだ、とはっきり述べています。

堀栄三は、戦争中の数少ない情報の中から適格に米軍の進行経路と進行時期を的中させていきます。それはとても凄いことなのです。

でも、彼はそれを誇るのではなく「負けては意味がない」と言います。この言葉からも、堀栄三がどれだけ真面目な人間であったか分かります。

作戦参謀の無謀な命令により万歳突撃していった勇敢な兵士たちのことを思うと、読んでいて、私も胸が苦しく大変悔しい思いがします。

戦争を知らない日本人のための教科書

堀栄三は言います。

日本人は実に、情報的におめでたい人種であった。
日本人よ、情報的にもっともっと成長せよ、そして冷徹であれ

これらの言葉がどういう背景から語られたのかを、我々は知る必要があります。

情報の持つ重みは、国の行く末をも左右します。

平時からどのようにして情報を収集し分析しているのか、これまでの人生の中で一度でも、ちゃんと考えたことがあるでしょうか。

なんでこんなに大事なことを今まで教えてくれなかったのか。「情報の大切さ」こそ、小学校や中学校で教えるべきではないでしょうか。

こんなに感銘を受けた本は初めてです。『大本営参謀の情報戦記(堀栄三)』今の時代だからこそ、読むべき名著です。