中学歴史文部科学省検定不合格教科書(竹田恒泰)

中学歴史文部科学省検定不合格教科書(竹田恒泰)

この本の面白さ

何といっても、文部科学省による直接の指摘が読める、ということです。

全体を通して感じたことは、文部科学省はかなり細かく指摘を入れているな、ということです。

指摘の内容については、至極まっとうな内容も多くあります。

ただ、中には「え?なんで?」と思うような指摘も多々ありますので、歴史の勉強がてら「なぜ、ここを指摘したのか」を考えながら読むと、なお楽しめます。

現在にも続くGHQの教科書検閲

教科書検閲にはGHQの『教科書検閲の基準』による影響が、現在も大きいそうです。

以下の5点です。

  • 天皇に関する用語
  • 国家的誇張に関する用語
  • 愛国心につながる用語
  • 日本国の神話の起源や、楠木正成のような英雄および道義的人物としての皇族
  • 神道や祭祀、神社に関する言及、等々

特に「道義的人物としての皇族」によって、亀谷上皇の話、仁徳天皇の「民のかまど」の話などは教科書に掲載できなくなりました。

そして、初代天皇である神武天皇についても教科書に掲載できない。これでは、日本の建国の経緯、我が国の成り立ちが分からなくなってしまいます。

教科書検閲に真っ向から立ち向かう竹田恒泰氏を応援したい

この教科書を読み、真っ当な青年が育ち、将来、日本の指導者となり国を正しい方向に導いてくれる。

そういう竹田恒泰氏の思いに私も共感いたします。

文部科学省との口頭での質疑応答

以下に掲載するのは、本書『中学歴史文部科学省検定不合格教科書(竹田恒泰)』からの引用です。

個人的に重要だと思ったところをピックアップしました。

問:(指摘405について)どのような意味か。

終戦の過程が詳細に描かれている。たとえば、三〇三ページ「ポツダム宣言と原爆投下」などで、記述がかなり細かく、示された文献も多い。本文の他の記述のレベルと比べると、偏りが見られる。全体とのバランスを取る必要がある。

⇒指摘の理由に正当性が欠けていると思います。終戦の詳細な過程について教えることを文部科学省は認めていない、と私は思いますね。

問:「支那」はどうか。「支那事変」などは公式な呼称だったはずである。「支那」や「支」という言葉を用いること自体が問題なのか。

それが問題である。現代ではそのような表現は使われていない。「支那事変と呼ばれました」という部分は事実なので欠陥個所として指摘していないが、説明部分で用いているところは指摘した。教科書では、ふつうは「支那」は用いない。

⇒ふつう、とは何でしょうか。「支那」を使ってはいけない理由にはならないかと思います。

問:「中国」は「中華人民共和国」「中華民国」の略称であるから、清以前に「中国」という国はなかったのであり、その地域は「支那」と呼ばれていた。「中華人民共和国」の公式な英名である「CHINA」も「支那」が語源であり、そもそも蔑称ではないのであるから、「支那」の使用には本来、問題ないはずである。

そのような説明をしたうえで用いたら別の判断になる可能性はあるが、審議会がどのような判断をするかは、いまここで断言することはできない。

⇒結局、使用禁止になりそうですが、審議会がどのような理由で没にするのか気になります。

問:(指摘518・519について)どのような意味か。

大戦について生徒に「勝ってもおかしくなかったのに負けてしまった」と理解させることは、学習指導要領が「大戦が人類全体に惨禍を及ぼしたことを理解すること」とする趣旨に反する。

⇒教科書では、先の大戦で日本が負けた敗因(戦略や作戦の失敗)を説明するのではなく、戦争の悲惨さだけを強調することが、戦後の学習指導要領のようですね。

問:勝てる可能性があったのに負けたというのは事実である。大戦は勝てるはずがないものだったと教えてしまうと、作戦を軽視して敗戦に至った事実が歴史的に葬られてしまう危険がある。

そもそも戦争をしてはならないことを生徒に理解させる必要がある。万一、戦争に至った際に作戦の問題が出てくるとしても、そこまで詳細を教えることが中学校の歴史としてどうかという問題はある。

⇒私も学校の先生から「そもそも戦争をしてはならないこと」と教わりました。そもそも人類の歴史において、戦争はなくなってないのですから、「戦争をしてはならない」というはただの現実逃避ですね。

⇒そうではなくて、「戦争しないためにどうすべきか」「戦争するなら決して負けてはいけない」ということを教えるべきですね。

問:(指摘532について)どのような意味か。

GHQによる受け身の表現が多く、当時の日本が主体的に改革を進めていった側面を欠いている。学習指導要領が求めている部分が書かれていない。

冷戦、我が国の民主化と再建の過程、国際社会への復帰などを通して、第二次世界大戦後の諸改革の特色を考えさせ、世界の動きの中で新しい日本の建設が進められたことを理解させる。(学習指導要領より抜粋)

⇒「新しい日本の建設」という理解を浸透させることが学習指導要領です。でも、新しい日本て何でしょうか。戦後、アメリカに占領され、日本の国体が踏みにじられたのは事実です。