日本史上最高の英雄 大久保利通(倉山満)

日本史上最高の英雄 大久保利通(倉山満)

今回ご紹介するのは「日本史上最高の英雄 大久保利通(倉山満)」です。

この本を読む前の私の認識

恥ずかしながら、私は大久保利通についてあまり知りません。

明治維新の頃に活躍した人、くらいの知識です。

そんな私が大久保利通について、初めて読んだ本がこちらです。

大久保利通の未来への意思

この本は1つの物語のように読者へ語りかけてくれます。

何といっても、大久保利通にとっての大一番は一橋慶喜との戦いでした。

筆者の倉山満氏はこのように書いています。

確かに、徳川慶喜は、大久保利通よりすべての面において優れていた。しかし、一つだけ欠けていた。
未来への意思である。
慶喜を倒し、日本を守る。大久保利通の強固な意志が、時代を突き動かした。

この「未来への意思」という言葉は、好きだな~、と思いました。

本当の政治家

大久保利通は、何度も何度も敗れましたが、日本のため、最後まであきらめずに戦い続けました。

そして、明治維新を成し遂げ、日本の未来を切り開きました。

大久保利通は、そんなカッコいい政治家であると、本書を読んで知ることが出来ました。

私も大久保利通が好きになりました。

本書で印象に残ったところ

私が個人的に、ここが印象に残ったな~、というところを書いていきたいと思います。

江戸時代にも憲法9条は存在した

徳川家康が戦国時代を終わらせ、三代将軍家光が後に「鎖国」と呼ばれるようになる貿易統制政策を行いました。

貿易はスペインとポルトガルを追い出して、清とオランダとの通商のみに限定しました。

外国を排除することが出来るくらい、当時の日本は国力があった大国だったのです。

ただ、一方で、江戸幕府は大名たちに「大船建造の禁止」を命じ、自らも国防努力を怠っていました。

その頃、ヨーロッパでは、18世紀半ばから19世紀にかけて産業革命が起こりました。

産業革命によってヨーロッパ列強は圧倒的な国力を付け、世界中の有色人種を植民地にしようと征服を始めていました。

ヨーロッパ列強に征服されないようにするためには、日本も「鎖国」を廃して、貿易によって富を増やし、強い軍隊を作るしかありませんでした。

江戸時代の「鎖国」が、現代の日本国憲法9条と同じですね。

尊王攘夷は正論である、問題は・・・

歴史を学べば、なるほど、幕末の動乱も難しく考えなくてよいのだな、と思いました。

幕末当時、尊王攘夷は日本国民全員の共通認識でした。

尊王は天皇を敬うことあるので、日本人の常識です。

攘夷は外国を打ち払うことですが、自分の国を侵略されたくないというのは、今も昔も同じです。

問題は、攘夷は正論だけどその手段がないことでした。

その問題に対して、「未来への意思」をもって明治維新を導いた人物が大久保利通であり、政治的に立ちはだかったのが徳川慶喜でした。

徳川慶喜との戦いに負け続けたが、最後に勝つ

幕末の誰もが分かっている解は、富国強兵、政令一途でした。

富国強兵は、国を富ませ、軍備を増強することですので、これは誰でも分かります。

それを誰がやるのか、物事を決めるところが、幕府と朝廷の二途になっていたことが問題でした。

こういう混乱した状況において、最終的には唯一、その命令が可能な天皇の奪い合いになっていきます。

その中でも徳川慶喜は常に優勢でした。

慶喜への将軍宣下に際して、大久保は阻止に動きましたが、失敗しました。

大久保が必死で引き出した討幕の密勅は、慶喜の「大政奉還」上奏が勅許され、無効となりました。

「王政復古の大号令」により徳川幕府が終焉した後も、朝廷内で大久保と岩倉具視は孤立しており、慶喜が支持を集めていました。

大久保利通は徳川慶喜に負け続けました。

しかし、最後の最後に、鳥羽伏見の戦いで「錦の御旗を翻す」ことに成功しました。

この瞬間に徳川慶喜は逆賊です。

大久保利通と西郷隆盛

本書を読むと、この二人は親友と言う言葉では尽くせぬ関係だったのが分かります。

西郷隆盛にとって、慶喜を倒すことが到達点でした。

大久保利通にとって、慶喜を倒した後が本番でした。

それが二人の悲しい運命を導いたのかと思うと、本当に残念でなりません。

大久保利通の志は伊藤博文が継ぐ

伊藤博文は多くの事を成し遂げました。

内閣制度の導入、大日本帝国憲法と皇室典範の制定、帝国議会の開会です。

そして、日清日露戦争に勝利した日本は幕末以来の念願だった不平等条約の改正を達成しました。

日本は、世界の誰にも媚びる必要のない強い国、すなわち文明国になりました。

ようやく、尊王攘夷が成し遂げられました。

現代は・・・

日本が文明国として残り続けるために必死に活動している政治家はいるでしょうか。

安倍晋三はもういません。

また、誰に頼るのではなく、私にも何かできることはあるのでしょうか。

そんなことを考えながら、日々を過ごしております。